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博士課程を終えて人生観が変わった
ようやく博士課程が終わり、学術振興会特別研究員として某研究機関で働き始めました。
博士課程を終えて医学博士(自分は医師免許なし)をとったのですが、学生からPDになり変わった人生観を(当然主観)で書いてみようと思います。
最初に、医学博士に関して。
ライフサイエンス系の博士は国の政策もあって溢れている状況です。
もちろんアカデミックを希望するのであれば、常勤のポストの空きが少なく競争率も高いため、ポスドクに行くのが普通じゃないでしょうか。
そして民間企業に入るのも理系の中では比較的困難な種別の博士だと思います。
どうして就職できないのか・・泣きっ面に蜂もいいとこですが、医学博士はその他博士と比べて研究能力が低いと見られがちだからではないでしょうか。
なぜ研究能力が低いとみられるのか?
通常の博士課程が3年に対して医学の博士課程は4年。。この1年の違いがあるのだから研究もじっくりできて能力は高そうですよね?
じっくり研究ができると言うのは本当ですが、この1年間は医者のための+1年です。
実験をやるのがはじめて!という医者の方々が成果を挙げるのには4年必要だということなのでしょう。
仕事の傍らやるのですから妥当な期間です。
しかし、医者でない人間にとってこの+1年を猶予期間と見なすと大変なことになります。
同じ業績を上げて卒業しても医学博士はとれますが、その後臨床で生きる医者と、研究者として生きる人間で同じ研究能力で良い訳がありません。
そのことを考えずに甘い要件通りに卒業したら他分野に比べて劣る人間に見られてしまいます。
繰り返しになりますが、卒業要件が国際誌掲載を1報有することとなっていた場合、その通りに1報書いて卒業したら「研究能力が低い博士」と見なされます。無論、Cell・ nature・ scienceあたりの有名雑誌に掲載されれば話は別ですが。
通常、工学など3年の博士課程の人間に求められる国際誌掲載数は年1報、卒業時までに3報くらいは求められると思います。
生物系はデータが出にくいため、求められる要件が少なくて妥当ではありますが、医者でないなら卒業までに2報はファーストが欲しいところです。
ここで、研究者として生きていくために必要な業績がどの程度かざっくり示します。
* 国際誌掲載数 > 研究年数×2報
年齢ベースで考える場合もありますので、その時は更に求められる雑誌数が増えます。
まぁこの数は共著も含むので大丈夫・・なーんて甘いことを考えるかもしれませんが、常勤の職を得ていないPDの人間であればファーストで上記の国際誌掲載数を稼がなければいけない。
評価する側が、常勤の指導者の立場であれば指導した結果だした業績とみるが、PDでは研究遂行能力を測るための指標として掲載数を見られるからですかね。
インパクトファクターで能力を見るところもあるとは思いますが、日本では数が求められるのが現状でしょう。余裕がある場所じゃないと、4年に1回の論文掲載じゃ話になりません。
まして、卒業までに速報系BBRC一報とかじゃその後厳しいでしょう(主観)。
私は博士卒業時に筆頭9報、共著10報ありましたが、常勤には至りませんでした。
もっと頑張れってことか、、厳しいですね。。
表題の回収、学振研究員になってどのように人生観が変わったか。
現在は医学⇒工学(総合)へと分野を変えて所属しています。
医学博士過程の時に比べて、
・求められる研究能力のレベルが高く、求められる業績も増加
⇒所属組織による。分野が工学系とかに異動すると、医学のような数年で一報じゃ論外扱い。ノルマ?は最低年1報。
・健康状態の微回復、精神状態の微回復
⇒学生と違って理不尽にいじめられることは少なくなる、休みもある
・研究の自由度は高くなる
⇒緩和されたとはいえ、科研費や民間助成への応募はかなり制限されているので不満だが、学生と異なり一応自分の名前も出せるのはいい。
・金はない。
私は医学博士の能力は高く、卒業すれば研究できるようになるものと思い頑張ってきましたが、
・理系なら工学か化学で博士をとったほうが良いし、能力も高く見られる
・医者以外の医学博士はいばらの道
・生きることが難しい。
・・・いろいろなところで言われていますが、私も、そもそも博士進学自体が人生の間違いだったと思う今日この頃。
人生観は 博士をとって研究を楽しむ! から 博士をとったら人生Hard modeになる にかわりました。
それでもやめてないのは 研究が楽しいから です。バカですね。
漠然と博士課程に行くと後悔しますよ。
そして、行くなら大きく有名な先生の所にいきましょう。いざってときにポスドクで雇ってくれるくらいの所に。。